『あの時、君は……』
俺は、怪我をしていない方の瞳の腕をひっぱった。

「警察行くぞ!」
「うち!?」

……あ、そうなるか……

って、そこで変な期待すんじゃねーよ! 俺!

「あぁ! このままじゃ瞳がかわいそうだ!」
「……そう……」

瞳は片足を引きずっていた。

「なんだ? 行きたくないのか?」
「いや、そうじゃなくて……」

瞳は、怪我をしている腕……左腕で左の太股を隠していた。
否応なしで、俺はその隠している部分を見る。

――ざっくり切られ、肉が少し出ていた。

俺は、立ち暗みがして、同時に吐きそうになった。
< 40 / 203 >

この作品をシェア

pagetop