『あの時、君は……』
瞳が俺を突き飛ばす。

やっぱり……ディープは止めてフレンチの方が良かったのかな……?

俺は疑問に思っていた時、瞳は、訴えるように続ける。

「私、ディープには嫌な経験しかないから、止めようね、って、言ったじゃん……」

……はい?
俺、そんな事……

聞いてないよ……?

「……え、いや……そ、そうだったっけ……?」

俺はただおろおろするしかする事はなかった。

「……やっぱり、聞いてなかったんだね……」

俺は、正直に頷いた。
瞳は、久々に俺の前で涙を流した。

怪我で重傷を負った時だって流さなかったのに、今は大粒の涙と嗚咽を流していた。
< 71 / 203 >

この作品をシェア

pagetop