感情方程式。
放課後ーー

鞄を肩にかけ、図書室に来た。
図書委員の仕事時間も終わり、もう此処は自由に扱ってもいい状態である。
私は窓の近くの机に鞄を置き、グラウンドから見える夕陽を眺めた。


何も考えずに、此処に居れる。
本当に些細な幸せな時間である。

「……はぁ」
「何溜息ついてるの?」
「ッ?!」

振り返れば、そこに小野寺先生がいた。

「せんせッ……」
「いや、声はかけてたんだけどなぁ…」

何もかも、タイミングがおかしい。
あぁ、もう嫌だ。帰りたい。帰りたくないけれど、逃げたい。

「何の用ですか…」
「警戒しなくてもいいでしょ〜」

本棚に寄り掛かかりながら手招きをし始めた先生。
取り敢えず側に近づいてみると、そのまま腕を引っ張られて包まれた。
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