感情方程式。
「あの、離し…」
「寂しくないの?」
は?…
「辛いなら辛いとかさ」
何なの。突然。
「甘える場所、無かったでしょ?」
私は何も返せなかった。
何故か見透かされてて、何故バレているのか。
「ッ……」
悔しくて涙が溢れ出てきた。
思い出したくなくても、思い出す。
忘れたくても忘れれない
こびり付いてる私の過去……
「私はーーー
私は、菊池家の長女として生まれた。
でも、両親は後を引き継ぐ男の子が欲しかった。
産まれてしまったのは…私。
両親は失望してた。嫌々育てた。
育てられ方に気付いたのは幼稚園の頃から。
声を掛けても帰ってくる言葉は一言、二言。
お母さんはまだ優しかった。
でも、お父さんは冷たかった。
それでも沢山お出かけをしたりしていて、思い出がいっぱいだった。
小学校1年生の春。
弟が産まれると伝えられた。
私は姉になるという喜びが大きくて楽しみで仕方なかった。
その時はもうお母さんのお腹は大きくて、秋に産まれる予定だった。
秋。
無事に誕生した弟。
喜ぶ私たち家族。
そこから始まる生活は、辛かった。
運動会などの学校行事を見に来てくれるのは嬉しかった。
だけど、私が頑張っていても2人は弟に夢中で…何も見ていてはくれなくて。
褒めてもらおうと感想を求めても、軽く流されるだけ。その時の言葉も一言、二言。
私はもう家族がどういったものなのかわからないまま過ごしてきた。