感情方程式。
「本当、学校嫌い………。」

座った途端に呟いた一言はそれだった。
精一杯の、彼女の今の思いであろう。
俺は何も言葉が出なかった。
慰める言葉もわからなかった。
だから、取り敢えず菊池を抱きしめた。

「もう疲れた…」

俺までモヤモヤしてきた。
1人の生徒を救う難しいことの大きさに酷く痛感している。

「そんなこと言うなよ」

上手く笑えないまま頭を撫でる。
すると、彼女は自身の腕を俺に回してきた。

「…帰りたい。」

小さくそう呟いた。
だが、もう先生同士の朝の打ち合わせもあり流石に送る時間の余裕が無かった。

「朝の打ち合わせがあるから今すぐは厳しいな。」
「…ごめん。」
「いいよ。1時間目は授業ないし、此処で待ってな。」

取り敢えず俺は腕を解いて、小走りで職員室へと向かった。
今日はどうするかなぁー…。



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