感情方程式。
決壊。

-麻璃side-

熱い、熱い、熱い…
1度だけ触れたのに、凄く熱を孕んでいる。
自分がどうなってしまうのかがわからなくなった。

「それってナニ…?」
「俺さ、ちゃんと1人の女性として菊池さんが好きだよ。」
「………うん。」


どうして彼はそんな簡単に言えてしまうのだろう。
その言葉を聞くたび、自分自身の胸が高鳴る。

「でもほら、一応先生だからさ。ね?付き合いたくても付き合えないというか、難しいよね。この感情のコントロールが。」

苦しそうに笑って、首を傾げた。

「曖昧な関係でも、気持ちをわかっていれば良いと思う。」
「ふーん、結構嫌じゃないんだね。」
「見ないで。」

私にはそう簡単に素直に物事を伝えるのが得意じゃない。
だから好きと言葉にするのだって恥ずかしいし、あんまり言おうとも思わない。
でもやはり、彼の前では素直になってしまう。
どうしてだろうか……。

「お願いあるんだけどさ。」
「何?」
「俺といるときはもう“先生”って呼ばないで。」
「…小野寺さん?」


そう言うと彼は笑いだした。

「普通…名前で、しょ……苗字は堅苦しいってば〜」
「奏太…さん。」

呼んでみると彼は満足そうな笑みを浮かべた。
「立つの疲れちゃったから座ろっか。」と言って本棚に背中を預けながら床に座った。



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