感情方程式。

-奏太side-

俺は菊池……麻璃に図書室で待つよう留守電を入れ、最後の業務を片付けていた。
終わらせればあまり誰ともすれ違わないだろうと思い、こうした選択にした。

作業場を変えようと、理科準備室で行おう思い向かった。
その途中に今朝の麻璃といた男子生徒が立ち尽くしていた。


「おー、気を付けて帰るんだぞ。」

と、声を掛けてみると無視。
まぁ最近の年頃の奴らはそんなもんか。
なんて考えながら通り過ぎると


「なぁ」


逆に掛けられた。

「どうした?」
「お前、麻璃とどういう関係なんだよ。」
「?、生徒と先生だろ?」

嫉妬か?
俺は少しニヤリと笑みを浮かべながらその生徒に向かって言い放った。

「最近図書室であいつと居るだろう?」
「…それがどうしたんだ?というか、それが本当にとも答えないけれど。あと、名前は?」
「滝田 蓮。」


あぁ、同じクラスのやつか。


「どうしてそんなに菊池さんのことに対して熱心なの?」
「幼馴染だし、昔から心配な奴だし。まぁ、いろいろ。」
「ふーん。」
「あいつが図書室でサボって自分で勉強してんのもわかる。でも最近変わってきてるんだよ。しかもお前だって出入りしてるだろ?」
「そう。まぁ、彼女は大丈夫だと思うよ。」


勝手に話を切り上げ準備室へ入っていった。
やっかいなことになり始めてるなぁ。
携帯を取り出し彼女に電話をかけた。

「ごめん、遅くなって。悪いんだけど理科準備室来て。」
《別にいいけど、何かあった…?》
「あーーー、まぁ。来る時4階まで上がってから来て。遠回りなるけど。」
《は、はぁ。》
「ごめんね。じゃあ。」

図書室は二階だ。
そして学校の東側にある。
ココ、理科準備室は3階の西側になる。
もちろん黙って3階に上がって真っ直ぐこちらに向かえばいいのだが、今のままだと滝田に遭遇するだろう。
それを避けるためには彼女にこう告げるしかなかった。


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