感情方程式。
「月曜からどっちかから付け始めるからね。」
「うん…。」

何か嬉しい。
嬉しくて笑いそうになるが私は堪えた。
そしてお店を出て行き暫くアウトレット内を歩くと「あ、奏ちゃ〜ん!」と声が聞こえた。
正面からだーーー……

「お、あぁ…3年の 小井出なつみか。」
「こんな所で会えると思ってなかった〜。嬉しい。」

知ってる…。この人。
私は帽子から少し見上げ、わすわかな場所から相手を見ることが出来た。
綺麗な人だっだ。笑顔が素敵で、キラキラしていて、私には足りないものを彼女が持っていた。

「先生、彼女居たの?」
「あぁ、まあね。今ちょっと恥ずかしがってうつむいちゃっているんだけどね。」
「はじめまして…。」

彼女がニコリとお辞儀をしてくる。
わ、私も答えなきゃ……、

「は、はじめましてッ…。」

ほんの少しだけ顔を見せて笑顔で返した。
そして、その後はまた俯いて奏太さんにそっとくっついた。
怖い、正直怖い…怖い怖い‼︎
不自然にならない程度に私は地面を見た。
やばい、震える……。

「素敵な方ですね〜!さすがじゃーん!」
「まぁな。んじゃあ、俺らはまた別の所行くから。」
「はい。失礼します。」


「行くよ。」と小さく声をかけ、私が掴んでいる腕を強く引っ張った。

「ッ…‼︎」

転びそうになるものの、何とか着いて行ってフードコートに辿り着く。
あまり目立たない窓側の席に着き、お互い溜息をついた。

「麻璃、ごめん。」
「いや、本当に自分が言ってたこと当たると思ってもなかったし…。」
「大丈夫だったとは思うけれど…。今日の麻璃のメイク大人っぽいし。」

そういう問題かはわからないけれど…。
取り敢えず私たちはアウトレットを後にした。
実はここから見える夜景が綺麗らしく、見せたかったようだ。
だがこうなると中々入ることは不可能になるため、断念した。
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