感情方程式。
「………うん。多分、中々良い点数採れるよ。」
「ありがとう。」
放課後、理科準備室。
化学が少し不安だったため、奏太さんから簡単な問題を出してもらい何回か解いたら丸付けという流れ作業を繰り返した。
「サボる割には勉強はちゃんとするんだね。」
「…両親がうるさいからね。」
まあこれに関しては仕方ないかと。
私も中学の受験の時から「これは家柄が悪いのか。」と、やっとのことでわかった。
まぁ、何でか知らないけれど大学に受験をしないといけないらしいし。
「切羽詰まったら俺のとこに来いよ。」
「当たり前でしょ。」
「何を今更。」と言いながら私は笑うと、「それで良し。」と満足気な笑顔で彼は返してくれた。
「じゃあ私、そろそろ帰るね。」
「……あぁ。………麻璃。」
「…?」
「送って行っちゃダメ?」
申し訳なさそうな笑みを此方に向けてきた。
そう、私は1週間前から奏太さんとの時間を一旦停めた。
サボることはなく、ただ放課後の2,30分くらいこうして会話をする事しか私たちの時間は無かった。
だって…一緒にいると、帰りたくなくなるから。
「……。」
「いや、無理なら無理ってね、言ってよ。」
「……………頑張るから。」
「え?」
「…テスト頑張るから。今日は一緒に帰る。」
だけど、私は寂しかったから。
奏太さんと帰宅することを選んだ。
ちゃんと帰らないといけない自分と帰りたくない自分の気持ちと格闘しながら。