感情方程式。
かれこれ15分ほど気付いたらずっと車内で話ししてしまっていた。
流石にずっと停まっているのはまずいと思い急いで降りた。

「じゃあまた明日?」
「試験監督に行けたら明日だね。」
「はーい。ばいばい。」

手をヒラヒラと振り返し、車を走らせた彼を見送り私も家の玄関へと足を運ぶ。
開けるとそこに、お母さんが立っていた。

「…最近遅いけれど。」
「………ただいま。」
「テストは大丈夫なの?貴方にもちゃんとした大学に進んでもらわないといけないし。後、最近のビジネスは英語が話せないと。…やっていけないからね?」
「あぁ……。うん。」

現実が広がっていた。
久しぶりにちゃんとした会話ができるかと思えば、これだ。
英語に関する話は遠回しの“海外留学”。
私がいくら授業をサボっても勉強を頑張らないといけない理由だ。
いつかはちゃんと話をしないといけない。
それが家に居るときに抱えているモヤだ。

いくら弟が後を継ぐといっても、私も私なりに残さないといけないモノがある。

あぁ…めんどくさい。
こんな言葉に自分の心を左右されて鬱になるなんて、子ども過ぎて更に鬱になる。
私はもう顔を合わせたくなくて部屋に引きこもった。


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