感情方程式。
色々考えてしまったが結局答えは出なかった。
良い加減諦めないといけないと思い、風呂場を後にしながら携帯で奏太さんの番号を探し、そこに軽く触れた。

画面に広がる彼の名前。
それすらも胸は高鳴る。

耳に携帯をあてると3回目のコールで彼と繋がった。

「待った…?」
《待ってたけれど、退屈ではなかった。》
「ごめん。」
《……やけに素直だな。》

クックッと、喉で笑っている声が聞こえる。
私も何故だかその時は自然に笑っていた。

「色々改めて考えてた。奏太さん。好きだよ。」
《………うん。》
「…………。」

恥ずかしくて何も言えなくなった。
好きって言ったのが重かったのかな?と、つい悩んでしまう自分が性に合わなくて嫌な気分になってきた。
頬が熱を帯びていく。


《麻璃。》
「ん?」
《会いたくなっちゃうからダーメ。》

拗ねるような言い方が愛おしくて胸が高鳴る。
あぁ、何でそんな言い方しちゃうのかな。
一つひとつ愛おしくなるってこういうことか。
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