空を見上げて、月を描いて
「悪い、待った?」
久しぶりに来る思い出の丘。
先に来ていたイチに声をかける。
「待ってない」
「そっか。ならいいや」
相変わらず、ぶっきらぼうで不器用な喋り方。
それに安心して、小さな笑いが漏れた。
やっと自分の気持ちも落ち着いて整理できて、この前イチに電話した。
なんだか忙しそうで、声は疲れてた。
あんなふうに別れてからしばらく時間が経って、電話なんて気まずいって思ったけど、案外普通だった。
今日こうして会えていることが、なんだか嬉しい。