空を見上げて、月を描いて
でも、助けられなかったんだな……。
「お前が言った通り、美月はもうこの世界にはいない。あいつがいなくなってから、今日でもう6年だ」
町を見下ろしながら、イチは呟く。
なんとなく予想していても、人から聞くと一気に現実味は増す。
わかってたのに。
全部思い出せば残酷な結末が待っているって。
わかってたのに、つらいことなんて。
信じたくなかった。
俺はまだ、信じられなかった。
信じていたかった、どこかで生きてるって。
忘れていたままでいられたらよかった。
……美月が、もういないなんて、信じられなかった。