空を見上げて、月を描いて

 案内されてリビングに入れば、また。


 たくさんのお揃いのものが溢れてた。


 ハート形のクッションとか、流しのとこに置いてあるマグカップとか。


 本当にたくさんあった。


 美月がここにいた証を、見ている気分だった。


 仏間に通され、額縁に入れられた美月を見て、本当にやっと、俺は美月がもういないんだってわかったし、信じられた。


 笑った顔の美月の写真。


 どこか見覚えのあるその表情は、中学の頃に付き合ってから初めて撮った写真だった。


 照れ臭くて、10センチくらい距離空けて撮ったんだよな。


 ……葉月が、撮ってくれたんだったよな。

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