空を見上げて、月を描いて

 そんなこんなで葉月の勤めるであろう会社を知って、イチも同じ企業を受け、見事に内定を勝ち取り、内定式で葉月を捕まえたらしい。


 聞けば聞くほど怖いし、ストーカーレベルだし、執着すごいって思ったけど、俺だって人のこと言えない。


 ずっとずっと、考えてたし想ってた。


 離れてからもそうだし、離れる前、美月の代わりとして傍にいてくれた時から、思えばずっと考え続けていたのは葉月のこと。


 “美月”が好きだったことに間違いはない。


 だけど、いろんなことを思い返して、全部を忘れ一番つらかった時、その支えになっていたのは葉月で、いつのまにか好きって気持ちは、葉月にちゃんと向いていた。


 ……俺が今こうやって言ったとして信じる人は少ないだろうし、世間体とかいろいろ考えれば、葉月に想いを向けることへの障害は大きい。


 そんなことは俺が一番よくわかってる。


 双子の姉が亡くなって、次に妹を好きになるなんて、はたから見れば『身代わり』にしているようにしか思われないだろう。

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