空を見上げて、月を描いて

 就職してもうすぐ2年が経つ。


 ここまで来るのは長い道のりで、不安も大きかった分1日が過ぎるのが毎日遅いように感じていた。


 あの時から7年が経とうとしている。


 今日彼女は、来てくれるのだろうか。





 古びた金色の鐘が鳴る。


 7年ぶりに見た葉月は、イチに聞いていた通り、そのままの“葉月”だった。


 化粧もしてる。


 髪型も色も変わっているけど。


 高校生だった幼さの残る顔はもうしてない。


 立派なひとりの女の人だ。


「……久しぶり」


< 44 / 47 >

この作品をシェア

pagetop