空を見上げて、月を描いて

 ……葉月は、受け止めてくれるだろうか。


 俺の全部を。


 ポケットに入っている四角い箱を確認して、ただ葉月を見つめた。


 タイミングを窺いに窺って、崩れた均衡。


 零れたコーヒー、内心慌てていただろうイチの間抜け面。


 俺は忘れない。


 もう絶対に。


 泣いた顔、笑った顔。


 今までのこと全部受け止めて、一歩踏み出す。


「実は……」



< 46 / 47 >

この作品をシェア

pagetop