空を見上げて、月を描いて
明るい昼間、よーく目を凝らさなければ三日月は普通見えない。
だけど、俺は、俺たちは、もう知っていた。
見上げた空に“月”がないのなら、自分の手で描いてしまえばいいって。
夜道を照らす、明るい月。
先の見えない未来だけど、お互いがお互いを導く光になれたらそれで十分だ。
だから、今日も空を見上げる。
美月が心配しないように、しっかり顔見せて。
そして、描く。
これから先の、未来のこと。
隣にいる、葉月と一緒に。
――空を見上げて、月を描いて――
【END】