空を見上げて、月を描いて
9月中旬。
いろんな大学の募集要項を見ながらイチのアドバイスも聞いて、いくつか俺に行ける可能性がありそうな学校を見つけた。
どの学校もそこそこの偏差値。
イチが行ってるとこより、レベルはもちろん低かったけど満足はできる。
センター試験の出願期間はまだだったし受けてみようかと思ったけど、ほぼ全科目に勉強時間を費やすよりも絞って勉強した方がいいってことで、それはやめた。
勉強を教えてもらって得意なんだと気付いたのは、数学と英語と生物。
それから、現代文とか古文漢文も意外と出来がいいらしい。
中学の頃、特に勉強が苦手だった覚えはないし、なにより専属の“先生”がいてくれたからこれだけできるようになったんだろう。
入試は、俺が得意なこの科目を使って受けることになった。
幸いにも地元の駅から電車に乗って40分くらいのところに、自分で好きな3科目を選んで受験ができる大学がひとつあったし、もう少し離れたとこにももうひとつ同じような受験方式をとっている学校があった。
「ちゃんと大学出て就職して、自分の道を自分で見つけろ」と、ずっと応援してくれていた両親のため。
これからの自分のため。
大学は家から通える範囲にして、今まで両親にも迷惑かけた分、できるだけかかる費用を減らして。
そして、絶対合格する。
受験する学校は絞り込んで、他の受験生よりかなり少ないであろう、たった2校。
科目数もたったの3個。
あと半年で未来が決まるかと思うと怖かった。