空を見上げて、月を描いて
それからの日々は自分でも驚くくらい、あっという間に過ぎていった。
勉強して、休憩している間はイチが言った『覚悟』の意味、美月のことをひたすら考えて、また勉強して。
高認試験の証明書発行の手続きをしたり、書類作成したり、そんなことをしていれば冬になるのはすぐだった。
息が真っ白に染まり、冷たい風が肌を刺す1月。
年越しは勉強して過ごしたし、正月なんてあってないようなもんだった。
バタバタと過ごすうちに出願期間が始まり、準備した書類を大学側に郵送して、受験票が送られてきた。
自分の名前や受験番号が印字されたそれが手元にあるだけで、緊張が増した。
2月初め、1校目前期日程の試験日。
科目は英語、数学、生物。
英語はほぼ暗記、それから洋楽聞いてリスニング慣れしておいた。
数学なんかは問題のパターン理解して、ひとつひとつの単元理解してればいけるはず。
生物はほぼ暗記だから、大丈夫なはず。
……俺にとっては、これが初めての“受験”だ。
中学受験は必要なかったし、高校受験の時は事故で受けられなかった。
所謂“滑り止め”ってやつで偏差値が低めの私立は受けていたけど、そこでは書類選考だけだったし。
だから、これが初めて。