オフィス・ラブ #3
あんなに忙しい中で。

全然知らない街で。

そんなことを考えて、駐車場を探して。

何時間もかけて、移動したの?



お前…、と、困り果てたような声がする。



「そんなに泣いて、脱水にならないか?」



なるかもね。

でもそうしたら、新庄さんが助けてくれるんでしょ。


結局この人は。

いつだって、私を見てる。



うつむいて、水面にぽたぽたと涙を落とす私を。

一緒にいる時は笑え、と言いながら、新庄さんが頭をなでてくれる。


熱くほてる目で、新庄さんを見ると。

それだけでまた泣きたくなるような、優しい優しい、キスをくれた。





話したいことが、ありすぎて。

髪も乾かさずに、お互いバスタオルを巻いただけの状態で、新庄さんが私を寝室に引っぱっていった時も。



「次、いつ会えます?」

「お前、ちょっと黙れ」

「明日も、早く帰っちゃうんですよね」



久々にベッドメイクしたシーツの上で、むき出しの肩にキスを受けながら、私は、思いつくまま質問を浴びせていた。



「言いたいことは言うルールでしょう」

「空気くらい読めよ」



うんざりしたようにそう言われる。

なんだそれ。

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