オフィス・ラブ #3
そうだ、と思いついてAORのことを話すと、やっぱりな、と新庄さんが言う。
『開発系統を整理したって聞いた時から、怪しいと思ってた』
「…それって、2年近く前ですよね」
そんな前から。
『それより前に、ブランドの統合整理があっただろ。あの頃から、可能性はあるなと感じてたんだが』
ちょっと、やりくちが急だな。
考えこむような声でそう言う。
ブランドの統合整理って、新庄さんがチーフになる前の話じゃないか。
そんな頃から、今回の動きを察知していた人が、他にいるだろうか。
「それだけじゃないんです。正式な打診があったわけではないんですが、代理店のシェアを…」
そこまで言ったところで、向こうがずっと無言なのに気がついた。
新庄さん? と呼びかけると、お前さ、と何か思案しているような声がする。
『一度、来られないか』
唐突な言葉に、思わず、え? と訊き返した。
『電話だと、大塚、仕事の話しかしなそうだから』
「………」
それは、新庄さんもじゃないか。
そう思って言い返すと、電話の向こうで軽い笑い声がする。
『元の立場って、引きずるもんだな』
「今週末はイベントなんです」
『なら、代休とるだろ』
「平日でも、いいんですか?」
うん、と答えがある。
『どうせ、休日もフルには休めないから、いつでもいい』
「じゃあ来週、代休とれた日に伺います」
『週末は、野外フェスか?』
懐かしいな、と言われて。
ああそうだ、と思い返す。
私が初めて、新庄さんと組んだ仕事だ。
あれから一年、たったんだ。
幸せな気持ちで、電話を切って。
明日からの出張準備をした。
『開発系統を整理したって聞いた時から、怪しいと思ってた』
「…それって、2年近く前ですよね」
そんな前から。
『それより前に、ブランドの統合整理があっただろ。あの頃から、可能性はあるなと感じてたんだが』
ちょっと、やりくちが急だな。
考えこむような声でそう言う。
ブランドの統合整理って、新庄さんがチーフになる前の話じゃないか。
そんな頃から、今回の動きを察知していた人が、他にいるだろうか。
「それだけじゃないんです。正式な打診があったわけではないんですが、代理店のシェアを…」
そこまで言ったところで、向こうがずっと無言なのに気がついた。
新庄さん? と呼びかけると、お前さ、と何か思案しているような声がする。
『一度、来られないか』
唐突な言葉に、思わず、え? と訊き返した。
『電話だと、大塚、仕事の話しかしなそうだから』
「………」
それは、新庄さんもじゃないか。
そう思って言い返すと、電話の向こうで軽い笑い声がする。
『元の立場って、引きずるもんだな』
「今週末はイベントなんです」
『なら、代休とるだろ』
「平日でも、いいんですか?」
うん、と答えがある。
『どうせ、休日もフルには休めないから、いつでもいい』
「じゃあ来週、代休とれた日に伺います」
『週末は、野外フェスか?』
懐かしいな、と言われて。
ああそうだ、と思い返す。
私が初めて、新庄さんと組んだ仕事だ。
あれから一年、たったんだ。
幸せな気持ちで、電話を切って。
明日からの出張準備をした。