オフィス・ラブ #3
「大丈夫か」
「すみません…」
ベッドに横になる私の頭を、横に座った新庄さんが、心配そうになでる。
食事の片づけを終えて、くつろごうとした時に、胃に激痛を覚えたのだ。
確かにここのところ、ずっと重石が乗っているようで、調子が悪かった。
思っていたより、ストレスが身体にきていたらしい。
「なんだろうな」
そうつぶやく新庄さんに、理由を説明できなくて、とっさに仕事のせいにした。
それを聞いた彼が、つらそうに顔をゆがめるのに、驚く。
「そんな時に来させて、すまない」
消えてしまいたくなった。
ごめんなさい。
ごめんなさい、本当だけど、違うの。
どうして、もっと他の言葉を選べなかったんだろう。
これで今晩、抱かれなくて済むと、ほっとしてる自分ですら、嫌なのに。
新庄さんにまで、後悔させて。
その誤解だけは解きたくて、新庄さんを見あげて、なんとか首を振る。
「会いたかったんです…」
やっと本当のことを言ったら、涙がにじんできた。
袖に顔を隠す私を、痛みがひどいんだと思ったらしく、新庄さんは、大丈夫か、とずっと頭をなでていてくれた。