オフィス・ラブ #3
その室内に、さっと目を走らせてから、新庄さんは覚悟を決めたように息をついて、一息に言った。
「そもそも、当部署が設立された目的のひとつが、その協力会社の頭を押さえることであり」
いきなり暴露された黒い内部事情に、ざわめきが大きくなる。
「あくまで私見ですが、平たく言えば」
偉い方々の、縄張り争いです。
以上、と腹立たしげに吐き捨ててマイクを乱暴に切ると、閉会だ、と進行に言って壇上を降りる。
集まった社員たちは、しばし呆然として、その後、さざめくように笑いが広がり。
笑っていいのか迷っている様子だったマーケの人たちも加わって、閉会の言葉は、爆笑の渦にかき消された。
「あー、面白かった」
退場の混雑が落ち着くのを待って、私たちも会場を出る。
ドアをくぐりながら、堤さんが満足げに言った。
残暑というより、まだ真夏じゃないかと言いたくなる気候の中、涼しい顔でネクタイを締めているのは、彼くらいだ。
「偉い方々が来てなくて、よかったよ」
「遊びすぎです」
後で怒られても知りませんよ、と言ったところで、別にいいよ、と全然懲りる様子がない。
「痛快でしたねえ」
同じく6部の井口さんも、笑い疲れたような顔でそう言う。
みんな、もう説明会の主旨なんて、忘れているんじゃないだろうか。
「そもそも、当部署が設立された目的のひとつが、その協力会社の頭を押さえることであり」
いきなり暴露された黒い内部事情に、ざわめきが大きくなる。
「あくまで私見ですが、平たく言えば」
偉い方々の、縄張り争いです。
以上、と腹立たしげに吐き捨ててマイクを乱暴に切ると、閉会だ、と進行に言って壇上を降りる。
集まった社員たちは、しばし呆然として、その後、さざめくように笑いが広がり。
笑っていいのか迷っている様子だったマーケの人たちも加わって、閉会の言葉は、爆笑の渦にかき消された。
「あー、面白かった」
退場の混雑が落ち着くのを待って、私たちも会場を出る。
ドアをくぐりながら、堤さんが満足げに言った。
残暑というより、まだ真夏じゃないかと言いたくなる気候の中、涼しい顔でネクタイを締めているのは、彼くらいだ。
「偉い方々が来てなくて、よかったよ」
「遊びすぎです」
後で怒られても知りませんよ、と言ったところで、別にいいよ、と全然懲りる様子がない。
「痛快でしたねえ」
同じく6部の井口さんも、笑い疲れたような顔でそう言う。
みんな、もう説明会の主旨なんて、忘れているんじゃないだろうか。