二十歳の約束
高2の8月
なっちから電話が来た。

国際電話。

手紙を読んで、私を心配してくれたらしい。

「あゆこは、わたしがいたからとさか君が好きだったんだよ。
あゆこの話しを聞いて、相談にのってくれる人、千葉君なんじゃない?
あゆこと登坂君、全然楽しそうじゃないし。
あゆこも気づいてるよね?」

うん。
気づいてたのかもしれない。

なっちの言う通りだった。

千葉君と話せなくなってから、気づいた。

いままでなっちにしてた話しも全部千葉君が聞いてくれてた。

カラオケで千葉君が歌ってた歌を聴きたくて、レンタルcdを借りてた。

そしてそれを聞きながら泣いてた。

いつのまにか千葉くんが大事になってた。

登坂くんに憧れてた時間が長すぎて、登坂くん登坂くんって思い込んでたのかもしれない。


何やってんだろ、わたし。


この思いがあるから、とさか君とも全然打ち解けられないのかもしれない。

とさか君と別れたって千葉君が戻ってくれるわけじゃない、逆に二人とも失う事になる。

それも分かってる。

でも、これ以上、無理だ。

そう思ってから、とさか君に電話した。

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