二十歳の約束
翌日の帰り道、千葉君に会った。
「とさかのこと聞いたって?」
「うん。」
「俺も黙っててごめん。でも、俺が言うのはなんか違うし・・・」
千葉君、あの状況でそんなハンデを使わなかった君は本当に良い奴だと心の中で思った。
「とさか、あゆこちゃんと出会った頃かな、サッカー辞めて、学校も辞めるとかってなって、ほとんど来なくなって、色々めっちゃ悩んで学校くるって決めたのに、単位たりなくて、留年することになって。
うちの学校って馬鹿だけど、留年する奴ってあんまいないから。」
だから、あの頃、電車でとさか君をみかけなくなってたんだな。
とか、
そんな大変な時にクッキー持っていったり、遊びに誘ったりしてしまってたんだなとか、
とさか君が別れ話でそこまでキレる理由がわからなかったけど、そうゆう全て、とさか君の苦悩も知らずに振り回してたんだな。
千葉君の話しを聞きながら、また後悔が押し寄せてきた。
「もう3学期はテストだけだから、会えなくなっちゃうね。
おれは、美容師の専門学校にいくことに決まったんだー
うまくなったら切ってあげるね!」
その会話を最後に千葉君には一度も会えずに卒業していってしまった。
千葉君、本当にいろいろありがとう。
わたしは、あの夏あなたが必要で仕方なかった。
言えなかったけど、大事な気持ちでした。