二十歳の約束
S女とJ学園。
同じ駅を利用する男子校と女子校。

お互い周りの目を気にして、知り合いでも軽く挨拶程度しかしないのが普通な感じになってる。

彼氏彼女って関係でも、駅では他人を装ったりするほど。


登坂くんとも、去年まではお互い合っても話すことはほとんどなかったけど、登坂くんの同級生がいなくなって、彼は全く周りを気にしなくなった。

その登坂くんの何か吹っ切れて、堂々とした感じに私も恥ずかしく人目を気にしてた感情がどこかに消えてしまった。


お互い一人の時は、
そのまま、話ながら一緒に電車に乗ることも多くなった。

登坂くんのクラスメイトは一緒にいても、私に気づくとはけてくれるようにもなってた。

私はJ学園では、登坂さんの元カノとして、かなり有名だとチョコちゃんにも言われたことがある。

元カノではなく、彼女と勘違いされて噂がまわってるのを聞いたこともある。

でも、当の私と登坂くんは、今のとても気楽な関係に居心地のよさを感じていた。
だから、何を勘違いされても別にどうでもよかった。

「あゆこ、K高の奴と付き合ってんでしょ?なんか周りがやたら、あゆこ情報いれてくんだよね。笑」

「うん。5月くらいからかな。

登坂くんもなんだね?私も回りがやたら登坂くん情報いれてくるよ。
遠足に、まさかの登坂さんも参加した!とか。笑」

「今もすげー見られてるよ。笑
S女の女の子達、こえー」

「J学園の男子のがこわいよ!」笑

「迷惑してたらごめん。おれ、だぶってるから有名で。」

急に真面目な感じで切り出された。

「全然全然!勝手に色々言われてるのも面白いよ。」

「じゃあ、まぁ、気にせずってことで。」

「うん!」

そんな話をしながら電車に乗って一緒に帰った。

それが楽しみにもなってた。
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