イジワルな君と私との恋愛事情

中臣くんside3

保健室へ着くなり、俺は、ベッドに寝かされていた。

(春名先輩は、相変わらず、心配性なんだからな……。)

俺は、そう思いながらも、春名先輩が今、自分だけに目を向けていてくれてることが、すごく嬉しかった。

「本当に彰吾、熱計らなくていいのか?」

春名先輩は、心配そうに、そう言った。

「…大丈夫です。寝てれば、治りますから……。」

「そうか?」

そう返事した春名先輩だったが、すぐに保健室から出ずに、ベッドの脇にある椅子に座った。

「春名先輩、もういいですよ。俺、一人で大丈夫ですから……。」

心配してくれるのは嬉しいが、これ以上、二人っきりはまずかった。

さっきから、ドキドキが止まってくれない。

俺は、赤くなった顔を隠すように少しだけ布団を被って、チラチラッと、春名先輩を見ていた。

「彰吾。」

突然、春名先輩が話しかけてきた。

「はい?何ですか?」

「結のこと、ありがとうな。」

そう言った。

「えっ!?」

「結から、いろいろと聞いてるよ。雪間にイジメられた結をいつも励ましてくれてるってさ。」

「…………」

俺は、そこで黙ってしまった。

春名先輩は、やっぱり、『心の奥底』では、結ちゃんのことが『好き』なのではないか?

そう思ったら、胸の奥がギュッと痛くなった。

『二人の固い絆』。

結ちゃんと春名先輩には、それがあるような気がした。

だからこそ、思った。

(やっぱり、俺、春名先輩のことが好きだ。どうしても、諦められない……。)

これから先、きっと、ここまで好きになれる人には巡り会えない……。

そう思ったら、

「好きです。」

つい言葉に出して言ってしまっていた。

春名先輩は、にっこりと笑うと、

「俺も彰吾のことが好きだよ。」

あっさりとそう言った。

だが、その後に、

「だって、彰吾は大切な『友人』じゃないか。」

そう言ったんだ。

ああ、やっぱり、そうか……。

分かっていた……。

そんなことは……。

でも、でも、ここで、『俺の本当の気持ち』を言わなければ、きっと後悔する。

そう思ったんだ。

だから、

「俺の『好き』は、『違います』。『そういう意味』の『好き』です!」

俺は、真っ赤な顔でそう言ったに違いない。

言った……。

言ってしまった……。

とうとう、『自分の気持ち』を……。

そんな俺の表情と様子を見て、やっと春名先輩にも分かったらしい。

ちょっと驚いた表情をしていた。

春名先輩に、『好きな人に初めて告白』できた。

それだけで、良かった。

後は嫌われようと、煙たがれようと……。

そう思っていた時だった。

「ありがとうな。」

春名先輩がそう言ったんだ。

いつものにっこりした笑顔で……。

「えっ!?」

俺は、一瞬、驚いてしまった。

「…はっ、春名先輩!?」

上ずった声で、名前を呼んだ。

「彰吾、こんな俺を好きになってくれてありがとうな。だけど……」

春名先輩が、そこまで言った時、

「分かってます。春名先輩が、断ることぐらい……。だって……」

俺もそう言いかけた時、春名先輩は、

「違うよ。彰吾、考えさせてくれないか?」

意外な答えを出したんだ。

「へっ!?」

俺は思わず、すっとんきょうな声を出してしまった。

そして、

「…はっ、春名先輩!?分かってます?俺、『男』ですよ?」

まさか、春名先輩の答えが、『考えさせてくれないか?』とは、思わなかった……。

「だって、それが、『彰吾の気持ち』だろ?それなら、俺なりに考えて、『答え』を言うよ。だから、時間をくれないか?」

と、そう言ったんだ。

それが、春名先輩なりの『答え』……。

俺は、あまりの意外なその『答え』に戸惑いを隠せなかったが、それと同時に、甘いときめきを感じていたんだ。































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