イジワルな君と私との恋愛事情

瑠璃子side2

体育祭が近づいて、みんなは放課後、練習をしていた。

高行は、運動神経がとても良いので、リレーのアンカーになっていたのだ。

私も、みんなと練習をしていたのだが、高行がちっとも現れなかった。

見かねた先生が、

「おい、浅葱。春名を呼んでこい!」

そう言ったので、私は、高行を探しに、校舎内に行った。

そしたら、高行とショウが、保健室に入って行くのが見えた。

私は、保健室に向かって、今、その扉の前にいた。

そして、まさに扉を開ける瞬間、驚きの一言をショウが告げた。

「好きです。」

そう高行に……。

私は、呆然と、扉の前に立ちつくして、その『告白』を聞いていた。

まさか、ショウが高行のことを好きだったなんて……。

正直、驚きすぎて、言葉にならなかった。

『男同士』とかいう『嫌悪感』は一切なかったが、私は、とにかく驚きを隠せずにいた。

私は、二人には悪いと思ったが、『盗み聞き』していた。

高行がどんな『答え』を出すのかが、どうしても知りたかったのだ。

私は、てっきり、高行は『断る』とばかり思っていた。

だが、高行の『答え』は、意外や、『考えさせてくれないか?』だった。

律儀な高行にしては珍しい。

高行は、あまり『期待を持たせる』ような『返事』はしない。

『断り方』は、女の子たちを傷つけないような『言い方』をしていると聞いた。

それは、高行なりの『優しさ』と『思いやり』なのだろう。

高行はショウの、その『真剣な告白』に少しでも心を動かされたのだろうか?

私は、自分が情けない気持ちになってしまった。

ショウは『男』だが、勇気を出して、高行に告白した。

女の子たちが告白するよりも、もっと、いや、たぶん、かなりの勇気が必要だと思った。

ショウが、いつから高行のことを好きだったのかは知らない。

いや、そんなことすら、気づかなかった。

きっと、親友である『梶』さえも知らない、ショウの『秘めた想い』……。

でも、ショウは、その想いを高行に伝えた。

その時、私は、『覚悟』を決めた。

私も、高行に『自分の想い』を伝える。

いや、『伝えたい』……。

私は、そう思い、そっとその場を後にした。






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