猫なわたし達
プロローグ
とても静かな夜、聞こえるのは虫のさえずりのみ。
電灯もとても少なくて少し先を見るのもとても大変。
あまりにも目がなれないものだからそろりそろりと歩いていると見慣れた緑のランプが見えてきた。
非常出口のランプだ。
そんなものが見えてくる理由には私が今いる場所が密接に関係してくる。
というか、学校に居るから非常出口なんかが見える、ただそれだけだ。
ではなぜこんなところに居るのかというとそれこそ深いわけがある。
そう、この肉球に収まりきらないほどの深いわけが…。


遡ること四時間前。
私、こと如月 実里(きさらぎ みのり)は現在17歳の高校生。
その時間は夕方で放課後だったため、ふらふらと散歩をしていた。
「お、猫はっけーん!」
そんな一言を発すると同時に大の動物好きの私は、そんな事をすれば逃げられるとわかっていつつも見つけた猫へと走りよったのだった。
当然猫は驚き逃げて行く。
そして私はついそれを追いかける。
逃げる猫、追いかける私、夕焼けのなか中々に絵になる光景だったのではないかと自負している。
さて、それからどうなったかと言うと、猫が公園の中へと入った。
それを追いかけていたのだが、公園の入口には階段があり、猫はそれを器用に素早く上ったのだけれど私はと言うと…。
足を滑らせ真っ逆さまに落ちた。
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