浮気者上司!?に溺愛されてます
違う違う! 別に私は、恭介の評価なんかどうでもいい。
むしろ、目一杯私に幻滅させて、ふざけた恋人宣言を消滅させなきゃいけないのに。


恭介は軽く足を崩して座り直してから、お行儀良くいただきます、と手を合わせた。
そして、相変わらず美しい箸使いで、私の手料理を突く。
その先で摘んだ白身魚が口元に運ばれるのを、ほとんど無意識に身を乗り出して、反応を待ってしまう私に。


「うん、美味い!」


一瞬目を丸くした後、そう言って褒めてくれる恭介に、私もホッとしながら笑みを零してしまう。


「よ、良かった」


味の保証はしないなんて言っておきながら、実はちゃんと味見して、大丈夫!なんて思ってた。
それでも、恭介の言葉を聞くまではちょっぴり不安だったから。


やっと安心して私も箸を手に取った。
恭介に倣って、いただきます、と呟く私に、


「……なあ」


恭介が豚汁を啜りながら、チラッと上向けた目を向けた。
ん?と短く聞き返す私に、恭介は……。


「実は昨夜から仕込んでたろ」


サラッと意地悪にそう口にして、私は本気で吹き出しそうになった。


「えっ!? な、なんでっ!」


ゴホゴホと咳き込みながら、目を白黒させて恭介を見返す。
恭介は私の焦りなんか気にもせず、軽く頬杖をついてニヤッと笑った。
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