浮気者上司!?に溺愛されてます
「だってお前、今日の帰りスーパー寄ってないじゃん。昨日のうちに材料買ってあって、今日は最初から中に入れてくれるつもりだったんだろ」

「……っ!! ち、違うもん。本当に、私……」

「部屋も、この間入った時より綺麗に片付いてるし。掃除して、ちゃんと俺を迎え入れる準備してくれたとしか思えないけど?」


恭介は相変わらず緩い空気のまま、鋭く私の心を見透かしてくる。
いたずらっぽいその瞳に晒されて、あまりの居心地悪さに、私は黙って目を逸らした。


これ以上どう誤魔化しても、私が追い詰められるだけだ。
だけど、バレバレだとわかっていても、素直に認めるのは恥ずかしすぎる。


だから、私は黙って食事を続ける。
否定も肯定もせず、返事は曖昧なまま。
それでもこうしていれば会話は終わる。
これ以上、恭介に胸の内を見抜かれずに済む。


そんな可愛くない態度しかとれない私に、


「サンキュ、奏美」


恭介がニッコリ微笑んで私に言った。
そんな笑顔に、ドキンと胸が高鳴ってしまう。


「まさか、お前の手料理食わせてもらえると思ってなかった」


そんなことを、本当に嬉しそうな笑顔で言われたら、私まで嬉しくなってしまう。
恭介に想われるのを幸せだと思ってしまう。
そうして……そう思う自分をどうしていいかわからない。


「……そんなことで、喜ばないでよ……」


思わず零れた心の声に、え?と恭介が顔を上げた。
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