浮気者上司!?に溺愛されてます
「私、こんなの慣れてないんだから。今まで誰の一番にもしてもらえなかった。だから、そんなこと言わないでよ……」

「……奏美?」

「……恭介だって、一番にしてくれないくせに……」


私、何言ってるんだろう。


口に出した積もりに積もった劣等感は、自分で思う以上に重く何層にも重なって蓄積されていたんだなあ、と思った。


こんな本音を恭介に知られるの、恥ずかしい。
何より自分が情けなくて、そして虚しいだけだとわかっているのに。
私は膝の上でギュッと手を握りしめて、背筋を伸ばして俯いた。


いつもいつも、どんなに仲良くなっても、どんなに好きになっても、私は『友達』以上にはなれなかった。
そのポジションに甘んじた結果、幸せなくらいたくさんの友達がいる。
だから何も上司で既婚者の恭介に甘えなくても、こういう時、電話して頼めば一緒にいてくれる友達のあてくらいある。


だけど、私は誰にとっても一番じゃない。
どんなに大事な仲間でも、私はその一人一人にとって一番大事な存在にはなれないんだ。


どんなにそのポジションを願っても、今までそれだけは手に入れられなかった。
そして、そんな自分に心の半分で満足して、その裏側で切なく唇を噛んでいた。


こんな私を心から大事にしてくれる人に、いったいいつになったら巡り逢えるんだろうか。
その日を夢見て、世知辛い現実にのまれて、夢なんか見ていられない現状に埋もれて……。


「……奏美。なんか、何言ってるのかよくわかんないんだけどさ。とりあえず、俺の気持ちだけはちゃんと言っておく」
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