浮気者上司!?に溺愛されてます
素直にそう頷くと、恭介が肩を竦めて苦笑した。
「まあ……俺も、もうちょっと色気のある状況で奏美の部屋に泊まりたかったけどね」
この薄暗い部屋に二人きりの状況でそんなことを言われたら、嫌でも心臓が騒ぐのを抑えられない。
「な、何言ってんの」
「冗談。……半分以上、本気交じりで」
「きょ、恭介……」
「だから、お休み。俺の全部が本気になる前に」
肩越しに私を振り返って、恭介は小さくフフッと笑った。
それでもジッと恭介を見つめる私に肩を竦めて、ゆっくりと左手を伸ばしてくる。
「……ほら、お休み」
短い言葉で諭すように、恭介が私の左手を握った。
その温かさに、思わずキュンとしてしまう。
それでも。
「……うん」
その温もりを感じながら、私はなんとか眠ろうと目を閉じた。
恭介も眠りを迎えようとしているのか、そのままさっきまでと同じ静寂が戻ってくる。
違うのは、私の手に確かに感じる優しさだけ。
そして、そんな小さなものが、私の心に広く深く浸透していく。
ドキンドキンと、鼓動が静かに打ち鳴っていた。
なのにとても穏やかで安心して、私もゆっくり意識を手離していく。
手から感じる恭介の温もりは確かに温かいのに、妙にフワフワと現実味がなかった。
それを逃がしたくなくて、無意識に手に力を込める自分に気づいた時……。
私は、目を逸らしていたかった自分の心にも気づいてしまった。
どうしよう。
私、この人が好きだ。
浮気でしかない『本気』を向ける最低な上司なのに。
私、恭介のこと、とてもとても好きになってしまったんだ。
「まあ……俺も、もうちょっと色気のある状況で奏美の部屋に泊まりたかったけどね」
この薄暗い部屋に二人きりの状況でそんなことを言われたら、嫌でも心臓が騒ぐのを抑えられない。
「な、何言ってんの」
「冗談。……半分以上、本気交じりで」
「きょ、恭介……」
「だから、お休み。俺の全部が本気になる前に」
肩越しに私を振り返って、恭介は小さくフフッと笑った。
それでもジッと恭介を見つめる私に肩を竦めて、ゆっくりと左手を伸ばしてくる。
「……ほら、お休み」
短い言葉で諭すように、恭介が私の左手を握った。
その温かさに、思わずキュンとしてしまう。
それでも。
「……うん」
その温もりを感じながら、私はなんとか眠ろうと目を閉じた。
恭介も眠りを迎えようとしているのか、そのままさっきまでと同じ静寂が戻ってくる。
違うのは、私の手に確かに感じる優しさだけ。
そして、そんな小さなものが、私の心に広く深く浸透していく。
ドキンドキンと、鼓動が静かに打ち鳴っていた。
なのにとても穏やかで安心して、私もゆっくり意識を手離していく。
手から感じる恭介の温もりは確かに温かいのに、妙にフワフワと現実味がなかった。
それを逃がしたくなくて、無意識に手に力を込める自分に気づいた時……。
私は、目を逸らしていたかった自分の心にも気づいてしまった。
どうしよう。
私、この人が好きだ。
浮気でしかない『本気』を向ける最低な上司なのに。
私、恭介のこと、とてもとても好きになってしまったんだ。