浮気者上司!?に溺愛されてます
初めてなのに、浮気な恋。


「絶対ダメでしょ……」


ついめり込みそうになりながら呟いてしまった時、


「水野さん?」


隣のデスクで、後輩がキョトンとした目を私に向けていた。
その視線を受けて、私は慌てて身体を起こして背筋を伸ばす。
そして、そんな私の目に、つい今しがた届いた社内メールが飛び込んできた。


「……っ……」


送信者の名前を見て、思わず息をのんでしまう。
だって、それは、恭介からだったから。


ドクンと大きく胸が高鳴るのを意識しながら、私はそのメールをすぐに開いて確認した。
そして、一瞬、え?と落胆する。


『今夜は用があるから、帰り、送れない。ごめん』


何も、恭介に謝らせることじゃない。
でも、昨日の今日だし……がっかりする気持ちは隠せなかった。
そして、その後に続いたメールの本文は……。


『でも、心配するな。昨夜のような怖い思いは、二度としなくて済むはずだから』


それを見て、私は再び顔を上げて恭介の背中を見つめた。
それに気づいたのか、タイミングを計ったのか、恭介が少しだけ振り返って私に視線を向けた。
ほんの一瞬、掠めるように虚空で視線がぶつかって、私の方が先に目を逸らした。
ドキドキする胸を押さえながら、もう一度メールに目を走らせる。


どうして、こんなことを言い切れるのか。
そんな疑問は自分でも驚くほどあっさりとのみ込めた。


恭介がそういうのなら、きっと大丈夫。
そんな気持ちになった自分に驚いて……そして、少し嬉しかった。


嬉しい、なんて、思っちゃいけないのに。
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