浮気者上司!?に溺愛されてます
恭介の言葉に安心はしても、できるだけ明るいうちにマンションに帰った方がいいに決まってる。


私はここ連日のペースで仕事を終わらせると、ももちゃんの誘いも断って、ほぼ定時でオフィスを後にした。


帰りがけ、恭介はデスクにいなかった。
書類も広げっぱなしだし、パソコンもロックがかかった状態のまま。
残業突入モードは確実なのに、どこに行ってしまったんだろう。


一々断る必要もないのに、私は恭介に『お疲れ様です。先に帰ります』とメールを送ってから出てきた。
エレベーターに乗り込んで、地上グランドフロアに到着した途端、なんだかものすごく恥ずかしいことをした気がして、ボッと顔が熱くなるのを感じた。


私のことは心配しないで、と伝えたかっただけだけど、よく考えたらすごく意味深だ。
一緒に帰るのが当たり前で、別々に帰る今日がイレギュラーっぽい。
『先に』なんて言ったら、後から恭介が帰ってくるのを待ってる意味合いにも取れる気がして、今更だけど顔から火を吹きそうだった。


どうしよう。
恭介があのメール見たら、なんて思うだろう。
深読みしないで、サラッと流してくれればいい。
明日顔を合わせたら、気にしないでください、ってフォローしとくか。
いや、むしろ私からは触れずにいた方が、深い意味がないことをアピールできるか。


真っ赤に火照る頬をなんとなくパシッと叩いてから、エントランスを抜けて駅に直結する地下通路に足を向ける。
エスカレーターに踏み出そうとして、私はハッと足を止めた。
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