浮気者上司!?に溺愛されてます
いつもより無駄に長く歯を磨いて、ぼんやりしながらメイクを直して、たっぷり十五分過ぎてから私はオフィスに戻った。
一度チラッと見やると、恭介はデスクにいなかった。
パソコンモニターの電源が落ちているから、きっと会議か外出か……少なくともしばらくは離席していることだろう。


溜め息をつきながらパソコンのロックを解除した。
軽く座り直してから午後の仕事にとりかかろうとして、手元に入力が必要な紙のデータを用意する。
エクセル画面を立ち上げながら気になって、さっき一方的に送り付けた後メールが届いていないか確認してみる。
そして、


「……っ……」


ドキッと鼓動が跳ねるのを止められなかった。


『お前こそ、好きだって言ってるのに、どうしてわからないんだよ』


慌ててツールバーにメールソフトを落として、恭介のメールを視界から消した。
それでも胸にせり上がってくるドキドキから逃げられない。


「バカッ……」


デスクに顔を突っ伏しながら、ギュッと目を閉じて思わずそう呟いていた。


なんで平気でそんなこと言えるのよ。
少しは罪悪感とか持ちなさいよね。
奥さんに悪いって、ほんの少しも思わないの? 


どんな顔してこのメールを書いたの。
どんな気持ちでこんなこと言うの。
こんなメール見て、私がどんな思いをするか、少しは考えてよ。


「……嬉しいに決まってるじゃない」


それが今、素直な私の心だった。
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