浮気者上司!?に溺愛されてます
気を張ってマンションに帰り着いた。
ここ数日の習慣で、なんとなく背後を窺う癖がついてしまった。
エントランスに足を踏み入れながら、私はそっと目線を通りに向ける。
そこに不審な人影がないことにホッとして、中に突き進んだ。
集合ポストを覗き込んで、たくさんのポスティングチラシを取り除いてから、公共料金の請求書やDMをバッグに突っ込んでエレベーターに向かった。
私の部屋はこのマンションの三階。
他の住人が一緒に乗り込む時は乗るのを避けるけれど、今日は私の他に誰もいない。
ドアが閉まるのを見てホッとしながら、低い天井を見上げて大きく息を吐いた。
とにかく、今日私に出来ることはやり尽くしたつもりだ。
明日出勤したらメールの返事が来ているかもしれない。
ううん、むしろ来てくれないことには、私は何も打つ手がない。
そんなことを考えながら、恭介の言葉を思い出した。
『でも、心配するな。昨夜のような怖い思いは、二度としなくて済むはずだから』
あれはきっと、恭介もストーカーの正体に気づいたから言えた言葉だろう。
なんて言って奥さんを宥めたんだろう。
そこにはやっぱり……私を守るという意志を感じてしまって、キュンと胸が疼いた。
ダメなのに。
どんなに好きになっても、本物の恋には出来ないのに。
そう思っても、私の心は揺れ動く。
浮気する男は、本気を分け与えることが出来るんだろうか。
愛情を増殖させる能力があるんだろうか。
本気でそう思ってしまうくらい、恭介が私に向けてくれる心はリアルだ。
ここ数日の習慣で、なんとなく背後を窺う癖がついてしまった。
エントランスに足を踏み入れながら、私はそっと目線を通りに向ける。
そこに不審な人影がないことにホッとして、中に突き進んだ。
集合ポストを覗き込んで、たくさんのポスティングチラシを取り除いてから、公共料金の請求書やDMをバッグに突っ込んでエレベーターに向かった。
私の部屋はこのマンションの三階。
他の住人が一緒に乗り込む時は乗るのを避けるけれど、今日は私の他に誰もいない。
ドアが閉まるのを見てホッとしながら、低い天井を見上げて大きく息を吐いた。
とにかく、今日私に出来ることはやり尽くしたつもりだ。
明日出勤したらメールの返事が来ているかもしれない。
ううん、むしろ来てくれないことには、私は何も打つ手がない。
そんなことを考えながら、恭介の言葉を思い出した。
『でも、心配するな。昨夜のような怖い思いは、二度としなくて済むはずだから』
あれはきっと、恭介もストーカーの正体に気づいたから言えた言葉だろう。
なんて言って奥さんを宥めたんだろう。
そこにはやっぱり……私を守るという意志を感じてしまって、キュンと胸が疼いた。
ダメなのに。
どんなに好きになっても、本物の恋には出来ないのに。
そう思っても、私の心は揺れ動く。
浮気する男は、本気を分け与えることが出来るんだろうか。
愛情を増殖させる能力があるんだろうか。
本気でそう思ってしまうくらい、恭介が私に向けてくれる心はリアルだ。