浮気者上司!?に溺愛されてます
まっすぐな光に射抜かれて、鼓動は怖いくらい打ち続けている。


「もう、いいも悪いも気にしてやれねえ」


ボソッと唇の先で呟く声を耳にしたのが、最後……。


シャープな顎をフッと傾けて、恭介が私に唇を寄せた。
私に逃げる間も与えないまま、私の唇を奪った。


思わず息をのんだ。
一瞬にして、思考回路が燻って停止する。


恭介は強張る私に更に身体を寄せて密着させながら、私の退路を完全に阻んでいる。
そして、一度目とも二度目とも全然違う、強引で濃厚で何故だか甘いキスを繰り返している。


薄く開いた目の先で、恭介の伏せた睫毛が震えるのがわかる。


「……奏美、嫌なら本気で抵抗しろ。じゃないと、俺は止めてやんねーぞ」


わずかに離れた唇の隙間で、恭介がそんなことを呟く。
私にとっては激しすぎるキスで、私の息は完全に上がっていた。
頭が酸素欠乏症に陥ったようにボーッとして、恭介に言われたことも、ただぼんやりとしか頭に入って来ない。
そんな私に、恭介がわずかに苦笑した。


「っつーか……。そんな目で見るなよ。反則だろ……」

「え……?」


ハッと息を吐いて目を伏せる恭介に、私は無意識に聞き返していた。
恭介は一瞬何かを躊躇うように逡巡した後、再び私の顔を覗き込んだ。


「……煽ってるのは、お前の方だ。囚われてるのは、俺だ」


そんなわけのわからないことを早口で言い切って、恭介は私の首筋に顔を埋めた。
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