浮気者上司!?に溺愛されてます
先に小会議室に入った恭介は、窓を見やって眩しそうに目を細めた。
ブラインドを閉めて室内に射し込む陽射しを和らげると、ゆっくり私に向き合う。
私は閉めたドアに背を預けて、恭介から目を逸らしたまま俯いた。


「……っつーか、ほんと奏美って無防備だよな……」


仕事の説明の割に、恭介が口にしたのは、仕事に全く関係なさそうなそんな言葉だった。


「昨夜あんなことしようとした俺にノコノコついて来ちゃっていいのか?」


カシャッとブラインドを軋ませるように、恭介が窓に背を預ける。
その言葉に驚いて、私は一瞬返事に詰まった。


「だ、だって……」

「オフィスで朝っぱらから何も起きないだろう、とか、思ってた? 甘いね~。その気になれば、俺は時間も場所も構わずに奏美に手え出せるんだけど?」


からかうような口調で上目遣いの視線を向けられて、私の身体が怯むようにビクッと震えた。
そして、恭介はそんな反応を確認して、肩を竦めてクスッと笑う。


「ま、三割くらい冗談だよ。話は仕事のことじゃないんだけどな」

「さ、三割くらい……?」


私の問いかけは無視して、まあ座れ、と恭介が椅子を指し示した。
一瞬躊躇してから、結局私は大人しく椅子を引いて腰を下ろした。


「……紫乃がお前に接触しようとして来たのって、昨夜のアレが初めてか?」


恭介が私のすぐ横で、テーブルに腰掛ける。
お互いに違う方向に身体を向けたまま、恭介が憚かるような声でそう呟いた。
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