浮気者上司!?に溺愛されてます
好きだ。
私、どうしようもなく恭介が好きだ。
もうこの人の前で心を偽るなんて出来ない。
誰に恨まれても、後ろ指を指されても、この恋心に嘘をつくなんて無理だ。


「……好き」


肩を震わせながら、ギュッと目を閉じて、振り絞るような声で口にした。
頬を撫でる恭介の指が、わずかにピクッと震えた。


「どうしよう。恭介が好きだよ……」


掠れた声が消え入っていった時、私の目から涙が溢れ出した。
一度零れたらもう止まらず、次から次へと涙の滴が頬を伝う。
そんな私を恭介は一瞬ギョッとしたように見つめたけど。


「……バカ、なんで『どうしよう』なんだよ」


そう言いながら、私を軽く抱き寄せた。
少し屈めた恭介の胸に、私の頭はすっぽりと収まってしまう。


私の髪を弄ぶようにサラサラと指に通しながら、恭介が私にはっきりと言ってくれた。


「大丈夫だよ。安心しろ。俺のこと好きになってどうしよう、なんて言わせない。ちゃんと決着つけて、奏美の望み通りお日さまの下を手繋いで歩こう。きっとそんな日もすぐ来るから」

「そ、そんな簡単に……」

「大丈夫だって。信用しろ」


一度結んだ縁を清算するのに、そんな簡単なわけがない。
だけど恭介の言葉は何故だかとても力強くて、無条件で信じたくなる。
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