浮気者上司!?に溺愛されてます
恭介がそう言うなら、きっと大丈夫。
恭介が私にくれる想いが本物だと感じているから、私はこの人をこの先ずっと信じていられる。


「……うん」


頷いて、そう返事をした。
微かに綺麗な微笑みを見せてから、恭介がゆっくり身体を私に屈めてくる。
一度ドキッとしてから、私もゆっくり目を閉じる。


軽く唇を触れ合わせるだけの優しいキス。


心に広がるのはじんわりとした温かさで、私は心の片隅に、ジンジン疼く罪悪感と背徳感を押し隠した。


これで幸せ、なんて思っちゃいけない。
私と恭介は、紫乃さんを不幸に追いやってしまうんだ。
それは痛いくらいわかってる。
こんなの、許されちゃいけないことだ。


だから神様――。


人一人を不幸にしてまで求めた恋の代償。
私は償わなければいけない。


私、地獄に堕ちてもいい。
穏やかな死に方が出来なくてもいい。
他の幸せなんか何もいらないから、どうかどうか恭介だけは私にください――。
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