浮気者上司!?に溺愛されてます
恭介のようにバスローブでいいの?
ああ、でもあんな格好いかにもって感じで、初心者の私にはハードル高い!
せめて温泉旅館とかだったら、浴衣ってチョイスも出来るのに。
いやいや……むしろ浴衣の方がエッチっぽい!?


結局私はなんとかお湯を止めると、大きく深い息を吐いて、その場にへたり込んでしまった。


どうしよう。
ほんと、泣きたいくらい緊張する。
頭の中でこれでもかってくらい繰り広げられる妄想のせいで、自分で自分を追い詰めているような気がしてならない。


大きく深呼吸して少し鼓動を鎮まらせようとしても、顔の火照りも全身の脈動も治らない。


どうしよう。いいのかな。
まだ私たちは問題を一つも解決してないのに、こんなことしちゃっていいのかな。


私の頭の中に過るのは、恭介が私に言っていた『真面目ないい子』的な考え方だ。
そういう型から外れない保守的な考え方をしていれば、大きく間違えて踏み外すこともない。
いつも痛手は最小限に抑えられるし、人から向けられる視線だっていつも温かいものだ。


恭介と、こんな、許されない不道徳な関係に踏み出しただけでも、私にとっては十分すぎる冒険だ。
恭介に聞かれてしまった最悪な失言の通り、私は今、素で悪い女になっている。
だからせめて行動だけでも大人しく……と考えて、私は、ハハッと、乾いた笑い声を漏らした。
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