浮気者上司!?に溺愛されてます
人のものを奪って手に入れた幸せは、どうしたって脆いものだと私に言い含めるように。
翌朝出社した私の社内メールには、朝一発目でそのメールが着信していた。


送信者の名前を見ただけで、一度大きく心臓が騒ぐのを感じる。
思わずハッとして、見慣れてしまった恭介の背中を見やったけれど、恭介の様子に変化はない。


きっとこの間のメールのように、私にしか送ってきていないのだろう。
一度冷静になって緊張を解してから、私はゆっくりメールを開封した。


『今日、業務終了後、総合エントランスでお待ちします。もしいらっしゃらなければ、添付の写真を取締役総会全メンバーに配布します』


その文面に、一瞬心が竦み上がった。
添付された写真を見なくても想像出来るのは、きっと……私自身も紫乃さんがこういう行動に出てくるとわかっていたせいだろう。


それでも、ゆっくりマウスをクリックして、私は添付ファイルを開く。
画面に表示されたその写真は、昨夜の私と恭介の姿だ。


私の肩を抱いて、ホテルに入る恭介の背中。
彼を見上げる私の顔は、しっかりはっきり確認出来る。


私はギュッと手を握りしめて、写真を画面から落とした。
それなりに動揺しているのに落ち着いていられたのは、恭介に愛されているという自信のおかげだった。
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