浮気者上司!?に溺愛されてます
「……初めまして。水野奏美です」
挨拶した声は、強張ってほんの少し震えていた。
それでも必死にまっすぐ見つめたままでいると、紫乃さんは口角だけ動かして笑った。
「初めまして。藤川です。……近くで見ると可愛らしい印象ね」
「え?」
いきなり向けられた言葉に、反射的に怯んだ。
紫乃さんは口元を隠しながらクスクク笑って、不快と言えるくらいねっとりした視線で、私の頭の先から爪先までねめ回す。
「人の物に手を出すような女だから、どれほどしたたかなんだろうって思ってたわ」
「っ……」
辛辣な言葉に、さすがに息をのんで口ごもった。
そんな反応も予想通りだったのか、紫乃さんはそっと肩を竦めて先に外に向かって歩き出す。
「急に呼び出して悪かったわ。この後、仕事に戻らなきゃいけないのかしら?」
肩越しに振り返りながら、そんなことを気にかけてくれる。
私にも予想外の紫乃さんの言葉だった。
「いえ。……今日は全部片づけて来ました」
私の返事は、紫乃さんにとって当然だったのか。
振ってきた割に興味なさそうに、ふ~んと鼻を鳴らすと、紫乃さんはビルの外に出て、迷う様子もなくまっすぐ歩いていく。
そして、ビルの並びにあるオープンカフェに入ると、コートを着たまま奥まったテラス席に向かって行った。
挨拶した声は、強張ってほんの少し震えていた。
それでも必死にまっすぐ見つめたままでいると、紫乃さんは口角だけ動かして笑った。
「初めまして。藤川です。……近くで見ると可愛らしい印象ね」
「え?」
いきなり向けられた言葉に、反射的に怯んだ。
紫乃さんは口元を隠しながらクスクク笑って、不快と言えるくらいねっとりした視線で、私の頭の先から爪先までねめ回す。
「人の物に手を出すような女だから、どれほどしたたかなんだろうって思ってたわ」
「っ……」
辛辣な言葉に、さすがに息をのんで口ごもった。
そんな反応も予想通りだったのか、紫乃さんはそっと肩を竦めて先に外に向かって歩き出す。
「急に呼び出して悪かったわ。この後、仕事に戻らなきゃいけないのかしら?」
肩越しに振り返りながら、そんなことを気にかけてくれる。
私にも予想外の紫乃さんの言葉だった。
「いえ。……今日は全部片づけて来ました」
私の返事は、紫乃さんにとって当然だったのか。
振ってきた割に興味なさそうに、ふ~んと鼻を鳴らすと、紫乃さんはビルの外に出て、迷う様子もなくまっすぐ歩いていく。
そして、ビルの並びにあるオープンカフェに入ると、コートを着たまま奥まったテラス席に向かって行った。