浮気者上司!?に溺愛されてます
店員がテーブルから離れて行くと、私はテーブルの一点を見つめたまま、思い切って口を開いた。


「私……紫乃さんには、本当に申し訳ないって思ってます」


緊張で掠れる私の謝罪を聞きながら、紫乃さんはゆっくりスプーンでかき混ぜている。


「恭介に恋したりしないって、そう自分に言い聞かせてました。だから……こうなったのは、意志の弱い私の責任です」

「ふーん……。つまりあなた、遊ばれてるってわかってて、恭介さんと付き合ってるの」

「あ、遊びじゃないです！」


紫乃さんの聞き捨てならない言葉に、思わず顔も声も上げてしまった。
相変わらず私をねめ付ける視線がとても居心地悪い。


「じゃあ何？ 恭介さんのあなたへの気持ちが本気だっていうなら、遊び相手は私の方って言いたいの？」


一瞬険しくなった紫乃さんの瞳に、ビクッと身体を竦ませた。


「い、いえ、それは……」

「調子のいい返事ね。まあ、言いたいこともわかるわ。恭介さんはいい加減な男だもの。言い寄る女はいつも適当にあしらうから、勘違いする女は後を絶たない。……極悪非道の最低な男だと思うわ」


な、なんでそこまで辛辣な言い方するんだろう。
そりゃ、確かに私も何度も恭介を最低だと心の中で罵った。
でも、紫乃さんの言い分は引っかかる。


「恭介は、そんな酷い人じゃないです」


思わず、思ったことをそのまま素直に口に出していた。
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