浮気者上司!?に溺愛されてます
ああ~ほんと、その目つき、居心地悪い!
でも、まあ……と、思考を転換する。


相手が恭介だとバレなければ、『彼』が出来たこと自体を隠す必要はない。
何より、こうも勘繰られては、誤魔化し通すのも無理だろう、と考え直した。


この間まで恭介が私を護衛してくれてた時とはちょっと状況が違う。
一応、断固否定を貫きたいけど、今、私と恭介の生活は、恭介が言う通り『同棲』というのが一番近いんだから。


今までにはない、自分以外の人を一番に思う生活。
決して決してそういう意味ではなくても、いつも恭介がそばにいると思うだけでキュンとしてしまうのは誤魔化せない。
こんな変化を、恋愛初心者の私が隠し通すのは、結構至難の技だろう。


店員さんがビールを運んで来て、離れていくタイミングで、実は、と切り出した。


「ちょっと前から、付き合ってる人がいる」


私にとっては世紀の告白でもあったのに、高津は全く驚かない。


「誰?」

「ちょ、直球だね……」

「隠すことないじゃん。同期なんだし、こっちだって社内恋愛内緒にしてもらってるんだ。お互い様だし」


それは確かに高津の言う通りだ。
ただの社内恋愛だったら同じ状況だし、高津やももちゃんに、私は最初から話せたと思う。


でも、私の方は、そんな穏やかな社内恋愛じゃない。
既婚者の恭介が相手。
いくら親しい同期とは言っても、簡単に応援出来る恋じゃないだろう。
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