浮気者上司!?に溺愛されてます
しかも恭介が呑気なせいであまり思い詰めずに済んでるけど、今、普通だったら相当の修羅場に差し掛かった状況のはずだ。
こんなことに、高津やももちゃんを巻き込むのは申し訳ない。


「……もう少し落ち着いたら、ちゃんと話すよ」


そう言って話題を切り上げて、後は当たり障りない普通の会話をして食事を進めたのだけど……。


食後のコーヒーを飲んでいた時、高津の携帯が鳴った。
スーツの胸ポケットから聞こえる電子音に気づいて、高津はすぐに応答する。


「あ、お疲れ様です。……終わりましたか? こっちもグッドタイミングです」


会話を片側だけ聞きながら、もしかしてこの後用があるのかな?と感じた。
あまり聞き耳立てちゃいけないかな、と、頬杖をついてボンヤリと窓の外に目をやる。
けれど、高津は割とすぐに通話を終えた。


「出る?」


もう少しコーヒーが残っているけど、一応気遣ってそう訊ねた。
いや、と、高津はゆっくり自分のカップを持ち上げる。


「あと五分もしたら、迎えが来るから」

「ああ……。ももちゃん?」

「俺じゃなくて、お前の」


え?、と思わず目を見開いて、私は高津の携帯が入っている胸ポケットに視線をずらした。
そんな私に、高津は上目遣いの視線でニヤッと笑う。
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