浮気者上司!?に溺愛されてます
「実はね、今日誘ったのは、頼まれたから」

「え……?」

「『俺の仕事終わるまで、一緒にいてやってくれ』って、桜庭課長から」

「……えっ!?」

「今の電話、課長から。仕事終わったから、って」


えええっ!?
思わず目を剥く私に、高津は肩を揺らしてクックッと笑った。


「そりゃ、相手上司だし。俺よりは人目を憚らなきゃいけないのかも、だけどさ。いいじゃん、課長。っつーか、相当妬まれるだろうな、非公認親衛隊に」

「ちょっ、……高津っ」


オフィスは同じビル内にある。
今周りのテーブルについている人たちも、実はうちの社員かもしれない。
こんなとこで恭介が話題になったら、どこでどんな噂されるか……そう思って、慌てて高津を止めたのに。


「別に、困ることないじゃん。お前も課長も真剣なんだろ?」

「だ、だから隠さなきゃいけないんじゃない」


恭介といい高津といい、男はどうしてこんなに呑気なんだろう。


自分で言いたくないけど、私と恭介の関係は明らかに不倫と呼ばれるものだ。
しかも真剣だからこそ、大問題に直面してるわけで……。


「と、とにかく、きょ……課長が来ちゃうなら、せめてお店は出ておかないとっ……」


そう言って、腰を浮かせた。
店内は、週末の夜だけあって満席だ。
嫌でも目立つし、リスク高すぎる!
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