浮気者上司!?に溺愛されてます
大きく頬を膨らませて、赤ちょうちんみたいになりながら、私は静かな廊下をズンズン歩いてオフィスに戻った。
私が言い出したことだけど、ほんと四六時中恭介と一緒だから、この二週間、なんかもう……私は恭介でいっぱいだ。
そんなつもりじゃなかったのに。
現実を忘れてラブラブしてる場合じゃないのに。
自分が幸せな恋愛映画のヒロインにでもなったかのように、恭介に愛される喜びを堪能している。
あああ……完全に幸せボケ。
私と恭介を取り巻く現実的な問題は、まだ何一つとしてクリアしていないのに。
流されまくってることを自覚して、どうにか発破をかけたいのに、いつもあんな笑顔のそばにいたりしたら……。
思わず、ハアッと息を吐いた。
そして、このお花の咲いた脳をどうにか仕事に引き戻そうと、勢いづけてドアレバーに手を掛けた時……
――え?
一瞬横目を過ったその姿をもう一度この目で確認しようと、私は大きく振り返った。
廊下の向こうからエレベーターホールに向かってくるのは、うちの会社の専務だった。
あまりお見掛けする姿じゃないけれど、私が目を奪われたのは専務じゃない。
その後ろ、一歩離れて控え目に付き従うショートヘアの美女……。
「……紫乃さん……?」
一瞬、目を疑いながらそう呟いた。
次の瞬間、ハッとして駆け出して、エレベーターホールに飛び込んだけど。
「あっ……!」
二人の姿は既にそこにはなく、ほんのタッチの差で、一番奥ののエレベーターのドアが閉まっていくのを眺めて見送るしか出来なかった。
私が言い出したことだけど、ほんと四六時中恭介と一緒だから、この二週間、なんかもう……私は恭介でいっぱいだ。
そんなつもりじゃなかったのに。
現実を忘れてラブラブしてる場合じゃないのに。
自分が幸せな恋愛映画のヒロインにでもなったかのように、恭介に愛される喜びを堪能している。
あああ……完全に幸せボケ。
私と恭介を取り巻く現実的な問題は、まだ何一つとしてクリアしていないのに。
流されまくってることを自覚して、どうにか発破をかけたいのに、いつもあんな笑顔のそばにいたりしたら……。
思わず、ハアッと息を吐いた。
そして、このお花の咲いた脳をどうにか仕事に引き戻そうと、勢いづけてドアレバーに手を掛けた時……
――え?
一瞬横目を過ったその姿をもう一度この目で確認しようと、私は大きく振り返った。
廊下の向こうからエレベーターホールに向かってくるのは、うちの会社の専務だった。
あまりお見掛けする姿じゃないけれど、私が目を奪われたのは専務じゃない。
その後ろ、一歩離れて控え目に付き従うショートヘアの美女……。
「……紫乃さん……?」
一瞬、目を疑いながらそう呟いた。
次の瞬間、ハッとして駆け出して、エレベーターホールに飛び込んだけど。
「あっ……!」
二人の姿は既にそこにはなく、ほんのタッチの差で、一番奥ののエレベーターのドアが閉まっていくのを眺めて見送るしか出来なかった。